位相幾何学特論 (2012年度前期)

成績はレポート課題で評価します。授業毎に出題されるので、最後の講義時間にいくつか選んで提出して下さい。

問題

  1. 地球が位相的に球体である事を、地球上にいながら証明するための方法を考えよ。
  2. R^1/Z が S^1 と同相である事を示せ。
  3. トーラスの定義を、R^3に埋め込まれた曲面、正方形の商空間、の2通りで与えよ。
  4. トーラスの異なる定義が、全て同相な空間を与える事を厳密に証明せよ。
  5. 射影空間の定義において、球面の商空間、ユークリッド空間から原点を除いた空間の商空間、の2通りが同値である事を示せ。
  6. 鏡にものを映すとき、"左右は反転するが上下は反転しない" 理由を答えよ。
  7. n次元ユークリッド空間における向きを、順序づけられた基底の同値類として定めるとき、どんなnに対してもちょうど二種類あることを示せ。
  8. 正方形の辺を同一視して得られる2次元多様体を分類せよ。
  9. n人乗りの浮き輪の展開図を描け
  10. 連結和 RP^2 # RP^2, T^2 # RP^2 はどの様な多様体となるか
  11. ユークリッド空間において、内積を与える事と距離を与える事が同値である事を示せ
  12. 半径 r の(通常の)2次元球面上において、測地三角形の面積が r^2(内角の和-π) で与えられる事を示せ
  13. ユークリッド空間内の単位球面について、その標準的な計量を計算せよ
  14. 2次元多様体の分類に従って、オイラー数を決定せよ
  15. フーコーの振り子の、緯度θの地点における角速度を求めよ
  16. 与えられた展開図から、向き付け可能性とオイラー数により二次元多様体を判別する方法を、例示で示せ

授業内容

  • 4/10
    • 幾何学では何を知りたいのか
    • 位相幾何 vs 微分幾何 vs 代数幾何
    • 多様体:物理の"時空"を数学的に扱う
  • 4/17
    • n次元(位相)多様体
    • ユークリッド空間、球面、トーラスが多様体である事
    • 商位相空間:空間を"外側の入れもの"を使わずに定める
  • 4/24
    • 球面の定義:三次元ユークリッド空間に埋め込まれた曲面としてのパラメーター表示、多項式の解集合、正方形の商空間、の2つの異なる定義
    • トーラスの定義:曲面としてのパラメーター表示、S^1の直積、正方形の商空間、の3つの異なる定義
    • トーラス3目並べ
  • 5/8
    • 正方形の商空間として得られる空間:球面、トーラス、メビウスの帯、クラインの壷、射影平面
  • 5/22
    • 射影空間の様々な定義
  • 5/29
    • 「向き」という概念にまつわるお話
  • 6/5
    • 多様体における向きの定義
  • 6/12
    • 張り合わせによる多様体の構成
    • 連結和の定義
  • 6/19
    • 多様体の計量
    • 曲線の長さ、測地線
    • 球面の幾何学:測地三角形の面積
  • 6/26
    • 計量の具体的な計算
    • 平坦、楕円的、双曲的空間
  • 7/3
    • オイラー数の位相不変性
    • オイラー数と面積(ガウス-ボンネの定理の特別な場合)
    • 2次元多様体のオイラー数の具体的な計算
  • 7/10
    • フーコーの振り子の、"平行移動"の概念による説明
    • 向き付け可能性とオイラー数による二次元多様体の分類
    • 三次元多様体の位相的、幾何的分類と、宇宙のカタチと未来についてのお話