集合と位相II (2011年度後期)
概要
概要
前期の「集合と位相I」では集合を学び、「線型代数学Ⅰ」では和やスカラー倍といった、要素に対する演算という代数構造が付加された集合を考えた。一方、要素の間の"近さ"を記述する「距離」、より一般に「位相」という幾何構造を導入した集合を考えることで、対象の"繋がり"といった関係について、数学的な考察を行うことが可能となる。この講義では、距離空間と位相空間についての基本事項を理解し、幾何的な対象を数学的に記述する為の基礎を学ぶ。
目標
目標
ユークリッド空間に始まり、距離から位相へと段階的な抽象化において、連続性や連結性といった直感的な概念が、どのように形式化され記述されるかを理解する。
成績評価法
成績評価法
3回の試験、レポート、平生点の総合で判断
シラバス
シラバス
連絡事項
連絡事項
- 第1回小テストの練習問題[View] 試験問題と模範解答
- 第2回小テストの練習問題[View] 試験問題と模範解答
- 第3回テストの練習問題[View] 試験問題と模範解答
- レポートの提出期限は1/20(金)の授業時間です。
- 第3回(期末)テストを、2/10の10:30より行います。
- 1/27(金)の午後は、木内先生の講義となります。午前は私の講義です。
授業内容
授業内容
10/7(第1回)
- ガイダンス
- 「集合と構造」という見方について
- 実数・ユークリッド空間の性質
10/14(第2回)
- 距離空間の定義
- 色々な距離空間の例
- ユークリッド空間の3種類の距離(内積ベクトル空間・コーシーシュワルツの不等式の復習)
- 離散距離
- ハミング距離
- 閉区間上の連続関数の空間に対する、2種類の距離
10/21(第3回)
- 計量ベクトル空間の復習
- 計量から定まる距離
- 関数空間$C^0([0,1])$が計量ベクトル空間である事、その一つの直交基底(フーリエの定理)
- 続・距離空間の例
- ポアンカレ円盤
- 非ユークリッド幾何について
- ポアンカレ円盤
10/28(第4回)
- 距離空間における、一点のε-近傍
- 距離空間の部分集合の有界性
- 距離空間における、点列の収束性
- 関数空間においての意味 -- 関数列の一様収束
- 距離空間の間の写像の連続性
- 近傍による定義と収束点列による定義が一致する事
- 積分は、関数空間からRへの写像として連続である。
- これは、一様収束する関数列において、積分と極限が交換する事を意味する
- 積分は、関数空間からRへの写像として連続である。
- 近傍による定義と収束点列による定義が一致する事
11/4(第5回)
- 有界性の同値な言い換え
- 写像の連続性に関する演習問題
- 等長写像
11/11(第6回)
- コーシー列、完備距離空間、距離空間の完備化
- 自然数から実数まで構成する方法
- 距離空間における、開集合と閉集合
11/18(第7回)
- 開集合<=>近傍の和集合、閉集合<=>任意の収束点列の極限を含む
- 連続写像<=>開集合の逆像が開集合
- 距離空間の部分集合における、弧状連結性と連結性
- 弧状連結=>連結(逆は成り立たない: topologist's sine curve)
- 連結集合の連続写像による像は連結(中間値の定理の一般化)
- 命題論理の復習
11/25(第8回)
- 中間試験
12/2(第9回)
- 点列コンパクト性
- 位相空間の定義と例
12/9(第10回)
- 位相空間の例
- 連結性と、それを用いた同相の判定法
12/16(第11回)
- 位相空間の構成法:部分空間、直積空間、商空間
- 商空間の例:円周S^1、トーラスT^2、メビウスの帯
- 位相的性質:連結性、ハウスドルフ性、コンパクト性
1/17(第12回)
- 開写像と閉写像について
- ハウスドルフ空間、コンパクト空間におけるいくつかの性質。特に、コンパクト空間からハウスドルフ空間への連続な全単射が同相である事
- 実射影空間の2通りの定義
1/20(第13回)
- 第2回中間試験
1/27(第14回)
- 商空間の間の写像(写像が well-definedであるとは)
- 実射影空間の2通りの定義が一致する事
- 不動点
- 不動点の意味、様々な応用場面における解釈
- 空間の不動点性(どんな自己連続写像も不動点を持つ様な空間)
2/3(第15回)
- 不動点定理の Hex game を用いた証明
- 不動点定理の様々な系
2/10(第16回)
- 期末試験